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大地震が発生した時の新幹線の様子(2018.06.18大阪北部の地震,実体験録)

2018年6月18日(月)午前8時前,近畿地方に震度6弱の強い地震が発生しました.この日,東海地方への出張のため,早朝から新幹線(のぞみ110号)に乗車して,広島から名古屋に向かっていました.

新大阪を通過し,鳥飼車両基地(摂津)を抜け,最高速に達しつつあるところに,新幹線車中で地震に遭遇しました.

 

ちょっとしたメモとして,また,今後同様に新幹線が止まった時に車内におられる方が,今後の見通しを考えていく上の素材として,車内の様子やアナウンスなどを時系列で記録しておこうと思います.

 

7:58AM

”ドン”という,下から突き上げられるような衝撃が襲う.その後車両が左右に揺れ出す.緊急ブレーキにより減速し始める.ざわつくが,大騒ぎにはならず.

減速している途中に,車内の乗客の携帯から「緊急地震速報」が一斉に鳴り始める.

 

8:00AMごろ

新幹線が完全に停車.止まった場所は京都府・長岡京市の京都府流域下水道事務所の真横.

そして,車内が停電となる.エアコンと自動ドアは完全停止.自動ドアは手で開けることに.

直後に車掌からアナウンス.「地震の影響で緊急停車.そして停電となっている.タバコは吸わないように」と.

車内は一瞬ざわざわするが,落ち着いている.

 

8:05AM ごろ(約5分後)

トイレ使用についても,”男性の小”はいいが,紙を流すなどはNGと,車掌から指示.

これを聞いて,トイレにいける,と思って行ってみたが,アナウンスは時すでに遅し.近くの車両の洋式トイレは全て,

誰かが用を足した後の状態になっていた.特に朝の時間帯であったため,ということも原因としてあるであろう.

 

8:10AM ごろ(約10分後)

車内販売が来る.ただしいつもの手押しカートではなく.まずは買い物かごにホットコーヒー+軽食.

その後しばらくすると,スナック菓子・軽食も販売される.

 

8:25AMごろ(約25分後)

停電が解消となる.空調がとまり,ムワッと暑くなり始めたタイミングだったので,あるいみ絶妙なタイミングだった.

アナウンスも流れた.

 

8:40AMすぎ(約40分後)

明らかに体感できる余震が発生.

 

8:50AMごろ(約50分後)

車内アナウンス.「京都〜大阪間はこれから施設点検に入る.徒歩による巡回.3時間ぐらい時間を要する」とのアナウンス.

おそらく,基本は目視点検でみていくのであろうか.その後数度同様のアナウンスが流れる.

 

9:45(1時間45分後)

再度,車内アナウンス.

「繰り返しの放送となりますが,現在徒歩による点検を実施中.運行再開まで2〜3時間かかる」と.

 

10:25(2時間25分後)

線路点検の方が徒歩で登場.歪み等を目視で点検.

二時間の遅れは確定し,特急券の払い戻しか,始発駅に無料で戻れる対象となる.

 

11:35 (3時間35分後)

施設点検は順調に進んでおり,異常もなく,あと1時間程度で終了の見通しとの車掌からのアナウンス.

一方で,今日広島まで帰ることを思うと,逆方向の様子が気になる.新大阪以西で,橋梁損傷のネットの噂もあり.

 

11:52 (3時間52分後)

安全確認終了.徐行運転開始.まずは京都まで運行.

 

12:05 (4時間5分後)

京都駅着.向かいのホーム時は,先発していたと思われるのぞみ300号(定刻8:00着)が停車中.

のぞみ300号は出発.

一旦降りる.そして戻るかどうか,悩む.

この時に,翌日の1時限目から講義があるので,まずは帰らないといけないと考えると,

ルートをいくつか考える.名古屋まで行き,空路で福岡に飛んで新幹線で戻るか,

それとも伊丹から松山に飛んで船で戻るか,それとも新幹線の運転再開を待つか.

ネットを見ると,Twitterで新幹線の橋梁の支障部がこわれたような写真もあり.果たして帰ることができるのか・・・ということで,上記の経路をおもいつくこととなった.

 

13:15 (5時間15分後)

京都まで乗ってきたのぞみ110号が京都を出発.結局この列車にはもう乗らないことに.

まずは大阪をめざす.

 

14:15ごろ (6時間15分後)

京都駅発,のぞみ99号に乗る.

途中は徐行気味,最高速では走っていない.

新幹線の車両基地(鳥海車両基地)を車窓から見ると,新幹線はほとんど出払っている様子.

なので,東京方面にあまり走らせることができないのかも.

 

14:35ごろ 

新大阪駅着.のぞみ99号,博多行きのところ,新大阪で打ち切り.

新大阪駅のホーム,新幹線が少なすぎる・・・普段は見られない光景.

 

14:45ごろ

新大阪発.こだま(700系レールスター車両)に乗る.

全席自由席.混雑してたがなんとか着席はできた.このあたりから疲れを感じ始めた.

山陽新幹線は間引き運転?直通のぞみ・ひかりは運休.こだま,さくらあたりに限定した運行か.

 

 15:55ごろ 

岡山駅着.線路点検の新大阪=新神戸以外は,制限なしの速度で運転.

この新幹線の終点が岡山なので,下車.

岡山駅に到着後,電光掲示板を見る.

後続のさくらが10分遅れで,それに乗ったら良さそうだが,すでにたくさん人が並んでいる.

あまりにも多いので,次の列車に乗ることも検討.

電光掲示板上では10分後にのぞみ111号が来るらしい.

ただし,JRサイバーステーションの情報では,60分遅れと表示.

東海道新幹線からののぞみが軒並み遅れているが,駅の電光掲示板には反映されていないと判断し,

混雑を承知で,さくら号に乗る.乗車率は感覚的に160%ぐらい.

 

16:05ごろ

さくら号に乗車.乗車率は感覚的に160%ぐらい.

特に遅れることはなし.

 

16:50ごろ

広島駅に到着.払い戻し処理を行い,家に帰る.

 

 

 

 

今回の件でわかったこと,感じたこと

            • 緊急地震速報を携帯が受信する前に,すでに新幹線の減速ははじまっていた.この緊急停止システム(新幹線早期地震検知システム)は結構効いていると思う.
            • 地震発生時,まずは縦揺れが襲ってきた.その後,車両は横揺れを繰り返す.感覚的には車でメチャクチャ飛ばしていて,急ハンドルを切って収まりのつかない状態になる感じ.ヤバいかも・・・と思った.が,減速しつつ,車両の挙動が収まった.地震発生時は直線区間だったので,必ずしもそうだとはいえないかもしれないが,脱線防止レールも機能していた可能性はある.
            • トイレは結構大変なことになっていた.が,便器内でおさまっていた.朝の時間帯なので,需要は多いかもしれないが,30分程度なら大きな問題はない様子.
            • 車内のアナウンスのタイミングと内容は,適切だったように思う.乗客がスマホですぐさま情報を取得しており,比較的必要な情報を瞬時に得ていたこともある.そのため車内は大騒ぎにはならなかった.
            • 携帯がつながることと,電源があること,これは本当に助かる.というより,安心する.
            • 待っている間,トイレが近くなったように感じることも.
            • 車内の放送では,仕方がないのだが進行方向の情報しかわからない.逆方向がどうなのか.
              あと,こういう災害の時にTVの取材姿勢に疑問を呈するコメントがよく見られるが,逆にテレビが見られない状態,ネットのみが情報源の状態だと,TVは偏っていなければ,整理されているという点では重要なメディアであると思う.
            • この手の事象が発生すると,まずは点検は当然のこととして,間引き運転.徐行運転も前提に,一旦走らせて,新ためて夜間とかに詳細な点検を再度行うのだろうか?
            • 直通の「のぞみ」は,山陽新幹線以西はダイヤが戻るのに時間がかかる.

          • EX予約のグリーンポイントが貯まっていて,使ってグリーン車にいくかどうか迷っていたが,帰路疲れているだろうからそこで使おうと思い,やめた.こうなるなら午前中に使っていた方がよかったか.ほか,これ以外にも,今回の出張で,ああしようとか考えていたことがあった.そっちにしておけば,巻き込まれない可能性があった.いずれも結果論ですが.