災害時公共交通情報提供研究会


災害時公共交通情報提供研究会とは

大規模な災害の発生によりバスや鉄道などの公共交通網に障害が生じた際、情報提供がきわめて重要になってきます。

ただ、こうした情報提供への対応は、我が国全体を見ても経験は浅く、しっかりと考えていなかければならない問題です。

 

2018年に発生した「平成30年7月豪雨災害(西日本豪雨災害)」を通じ、どのような情報が求められているか?、どういった情報が提供できるのか?、災害への対応で限られた人員の中で情報を提供するためには、何が、どういった体制が必要なのか?

 

地域の方々の移動の確保のため、また地域に来訪される方々のため、そして災害からの復旧、復興作業とうまく両立できる方法を探るため、広島エリアの産官学、そして全国の専門家・組織と連携し、それぞれが持つ技術・ノウハウを融合し、広島地域、そして今後他地域で同様の災害が発生してしまった際に役立つことができるような情報提供の実現を目指しています。

■メンバー(2018.08.16当時:西日本豪雨時の情報発信の立ち上げ時)

広島大学 大学院国際協力研究科 教授 藤原 章正(交通工学)

呉工業高等専門学校 教授 神田 佑亮(交通システム)※事務局

東京大学 准教授 伊藤 昌毅(ユビキタス・コンピューティング)

公益社団法人 広島県バス協会

株式会社 ヴァル研究所

株式会社 トラフィックブレイン

西日本旅客鉄道株式会社 広島支社

株式会社 バイタルリード

広島電鉄 株式会社

株式会社 ファイコム

広島県

呉市

これまでの活動


平成30年7月豪雨(西日本豪雨)での広島〜呉間の公共交通情報提供

 平成30年7月豪雨では,広島市と呉市の間の道路網(広島呉道路・国道31号)・鉄道網(JR呉線)が大きなダメージを受け,特に広島呉道路,JR呉線は復旧まで約2-3ヶ月を要しました.

その間,大規模な渋滞が発生するとともに,臨時のバス輸送も行われなましたが,バスも混雑したり遅れが生じたりしていました,

また,鉄道の復旧状況に応じて,バス輸送サービスも何度も変わって行きました.

こうした環境でも状況をできるだけ把握しやすくし,移動のストレスを抑え,できるだけ普段使っている情報サービスとの融合も意識して,情報システムの構築と発信を行いました.

(全てボランティアで実施.資機材・システムは既存のもの活用)

 この時の対応の経験は,後の非常時にも活かされています.例えば広島電鉄では,COVID-19禍に路面電車やバスの混雑情報の提供を早くから始めました.

関連URL:「平成30年7月豪雨災害 公共交通情報」(広島県バス協会のホームページ内)

 http://www.bus-kyo.or.jp/saigai201807

 

参考論文

 ・伊藤昌毅, 諸星賢治, 太田恒平, 森山昌幸, 神田佑亮, 藤原章正:「災害時の公共交通情報提供プロジェクト:西日本豪雨の際の広島・呉間での実践」, 土木学会論文集D3(土木計画学), 76 巻, 5 号,  I_1465-I_1475, 2021.

 

表彰・受賞

・2019 日本モビリティ・マネジメント会議 JCOMMプロジェクト賞 

  「日本豪雨災害時の公共交通情報プロジェクト〜システムの緊急開発と実装・評価〜」

・2019 第10回 EST交通環境大賞 奨励賞

  (主宰する「災害時公共交通情報提供研究会」として受賞)


COVID-19感染時の広島県下での公共交通情報提供

当時未知のウイルスであったCOVID-19の感染拡大により,日本全体で移動制限等の行動抑制が講じられ,バスや鉄道も減便が相次ぎました.

広島県では,広島県バス協会のホームページに「公共交通機関運行情報」がまとめられていましたが,その構築と運用を支援しました.

研究会の開催


西日本豪雨での対応以降も,「災害時公共交通情報提供研究会」はメンバーを拡大し,広島地域の交通関係者(産官学)のプラットフォームとして,引き続き災害時の交通情報提供やマネジメント,MaaSや新モビリティなどの新しいコンセプト等の情報共有や研究ディスカッションを,引き続き開催しています.

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